『伐造一貫(ばつぞういっかん)』
つい数年前まで、山仕事は分業制が当たり前でした。いや、今でも分業制が主でしょうか。
山仕事といっても、いくつかの仕事があります。
木材(森林資源)の循環は、「植える」「育てる」「収穫する」「使う」、そして「植える」を繰り返します。
ここで「使う」は、製材・加工を経て、住宅・木製品等に形を変え、皆さんの元へ行きわたるわけです。今回は、山仕事とは違いますので説明は割愛させて頂きます(とはいえ、弊社の製材・木材加工部門の範疇ではあるのですが)。
植える:造林
育てる:保育
収穫する:伐採
と、それぞれ会社毎・作業班毎に得意分野が違い、それぞれで仕事をしてきました。
造林と保育は仕事的には近い部類ですので、一緒の作業班で行うことが多いでしょう。
つまり「植えて育てる」造林班と、「収穫して利益を出す」素材生産班ですね。
植えて育てるにも費用が掛かっていますので、その分はどこかのタイミングで回収しなければなりません。
木材が野菜と違って難しいのは、育ててから収穫するまでのスパンが長い事。
戦後、「木材価格が上がる」ことを見越して山に木を植えたが、逆に下がって手間ばかりかかり、『儲からないから放ったらかし』という山が日本中に発生して、「間伐遅れだ!」という問題が発生してました。
いや、今現在も続いていますか?
木材価格の低下(長期で見ると、木材価格の上昇は一時的に跳ね上がっただけなのですが)で、山に係るコストを何とか下げなければならないということから、造林・保育にかかる経費を下げる手段として「伐造一貫」が編み出されました。他には、地拵の削減、下刈り回数の抑制、大苗開発等々ありますが、基本的には造林・保育にかかる手間・人工(にんく)を少なくしようという考えです。
ここ数年前まで、伐採した場所は、翌年に地拵をして植栽と、事業年度を分けて仕事が発注されることが大部分でした。
が、徐々に伐造一貫作業が取り入れられるようになってきました。
これは、伐出と同時に機械で枝条処理の地拵(機械地拵)をし、下草の生える勢いが弱い秋に植栽する事で、皆伐作業が終わると同時に植栽まで終わっている状況を作り出そうというものです。
苗木の運搬には、皆伐作業で使っている機械を使うことで、効率的ですし労働負荷の軽減も図れます。
弊社の場合は、林内作業車で苗木を運搬しました。後方に映っているグラップルは、他の作業で使っているのであって、苗木の積み下ろしに使っているわけじゃありませんよ(笑)
そして、植付作業の費用を抑えるためには、1日で植える本数を増やさなければならないことと、植えた木がしっかり活着すること。
その為に開発されたコンテナ苗。
弊社では今回初めてコンテナ苗の植栽となりました。
植え付けるためには、専用の「植付機」が要ります。
従来の実生の場合は、唐鍬で穴を掘ってという作業でしたが、この植付機での作業で、単純に効率は5割増しです。
実生だと、200本/人工だったのが、コンテナ苗だと300本/人工の計算です。
もちろん、苗木の運搬に林内作業車を使えているというのもポイントですけれど。この効率アップは大きいですね。
そして弊社の特徴として、「保育と収穫の作業班を分けていない」こと。
造林班も素材生産班も、分けていません。
みんなごっちゃ混ぜで、その時の仕事の内容によって、ベターな組み合わせを探します。
ですので、皆が造林作業をするし、皆が素材生産作業もします。という企業を目指しています。
実際には個人によって得意・不得意があるので、偏ってしまう場面もありますが、「せっかく林業に携わるなら、植えて育って収穫してをすべて出来る技術者を目指そうよ」というわけです。そうじゃないと楽しくないじゃないですか!
今回の植栽は、こちらのカラマツ。
戦後、「成長が良い」という理由が最優先で土木資材の利用を想定して植えられた唐松。
弊社初代代表理事の美谷添清が「もっとカラマツの有効利用を」と試行錯誤・東奔西走したカラマツ。
今では、合板の芯材や大断面集成材として欠かせない素材ですが、それはどちらかというと「強度」に重きを置いた利用。
いやいやそれだけじゃないでしょ!?
木目も素晴らしい、匂いも特徴があって良い、そして強度も兼ね備えている。
弊社木材加工部では、床板・壁板・飛騨唐松パネルとして商品展開をして、どんどん皆さん使って頂きたいと思っています。
木製品から、山へも思いを馳せて頂けると嬉しいです。
(一部の例であることをお断りしておきます)
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